オルカン(全世界株)やS&P500を積み立てていると、ある日ふと思うんですよね。
「結局、上位の米国大型株に偏ってない?」「暴落が来たら耐えられる?」と。
そんなタイミングで、日本の投信市場に“異常な規模”で新ファンドが上陸しました。
2025年11月の新規設定(新しく作られた投資信託)は22本・設定総額1,899億円。そのうち、なんと1本だけで1,715億円を集めたファンドがあります。
『TRプライス キャピタル・アプリシエーション・ファンドB(為替ヘッジなし)』です。
この記事では、
- 何で騒がれてるの?(数字で)
- 何がすごいの?(中身をやさしく)
- オルカン・S&P500に“プラスして持つ意味”は?
- この情報から「上がりやすい株/下がりやすい株」をどう考える?
を、40代サラリーマン家計目線でまとめます。
※投資は元本保証ではありません。用語が不安な方は先に用語集もどうぞ。
結論:オルカン・S&P500に“足す”なら「目的」で選ぶ
いきなり結論です。オルカンやS&P500は、長期のコア(中心)として強い。
ただ、40代になると「増やす」だけでなく、崩れにくさ(下げ耐性)も現実的に重要になります。
- 下げに強い“守りの成長”を足したい → TRプライス(今回の主役)
- 株の値動きを抑えて“別の動き”を足したい → ロングショート(クオンツ)
- 5年くらいの“債券の利回り”を取りに行きたい → 円建て社債ラダー型(投資適格中心)
この記事は、まず主役のTRプライスを深掘りし、最後に「組み合わせ方(家計ルール)」まで落とし込みます。
何で騒いでるの?2025年11月の新規設定“22本”なのに、ほぼ1本で持っていった
まず数字で見ます。
2025年11月の新規設定は22本・1,899億円。その最大がTRプライスの1,715億円です。
ざっくり言うと、新規設定総額の約9割を、この1本が占めた計算になります。

出所:参考記事に記載の配分数値をもとに筆者作成

出所:三菱アセット・ブレインズ集計(参考記事の数値をもとに筆者作成)
| 順位 | ファンド名(略) | 設定額(億円) |
|---|---|---|
| 1 | TRプライス キャピタル・アプリシエーションB(ヘッジなし) | 1,715 |
| 2 | 世界株式・クオンツ・ロングショート(ヘッジなし/年1回) | 42 |
| 3 | 円建グローバル公社債(限定追加型)2025-11 | 39 |
| 4 | ブランデス欧州株ファンド | 12 |
投信って、普通は「人気でも数十億〜数百億」くらいの世界です。
それがいきなり1,700億円超。しかも設定直後。
この時点で、「何かデカい理由がある」と思って深掘りする価値があります。

出所:参考記事のランキング数値をもとに筆者作成
さらに面白いのは、「新規設定」だけじゃありません。
同じ月の資金流入ランキングには、いつも通りオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)やS&P500系が並びます。
つまり、積立の主役(オルカン・S&P500)は継続しつつ、“追加の一手”としてTRプライスが刺さった、という構図です。
何がすごいの?“米国で人気すぎて募集停止”の正体
TRプライスの販売用資料では、この戦略について次のように説明されています。
- 米国で残高14兆円規模にまで拡大
- 10年以上、新規募集停止が続いた
- 運用の基本は株式60%・債券40%(ただし中身が普通じゃない)
「募集停止」って聞くと不安に感じるかもしれませんが、米国の投信では“人気が出すぎて、運用容量を守るために新規を止める”ことがあります。
実際、米国の元になったファンド(T. Rowe Price Capital Appreciation Fund)は、公式ページ上もClosed to new investors(新規投資家は不可)と明記されています。
そして米国側の運用報告書では、ファンド規模(純資産)が約678億ドルと記載されています(日本円にすると為替次第ですが、10兆円規模になり得るサイズ)。
分かりやすく教えて:TRプライスは「60/40をアップグレード」した“守りの成長”
ここからが本題です。
TRプライスは「株60:債券40」という、いわゆる王道バランスに見えます。
でも中身は、“昔ながらのバランス”とは少し違います。
1)株式:GARP(成長と割安の“いいとこ取り”)
GARPはざっくり言うと、
「伸びる会社(成長)だけど、値段が高すぎない会社(適正価格)」を拾う考え方です。
「何でもいいからグロース」でもないし、「安いだけのバリュー」でもない。
家計目線で言うと、“割高な人気銘柄に突っ込みすぎない”ブレーキが効きやすい発想です。
2)債券:投資適格だけでなく、ハイイールドも使う(=守りの中に攻めを混ぜる)
債券の比率が大きいのに、リターンも取りにいく。
そのために、投資適格債だけでなく、ハイイールド債(信用力は落ちるが利回りが高い債券)も組み込みます。
もちろんリスクは上がります。だからこそ、オルカンやS&P500と同じテンションで買うのではなく、“役割を分けて持つ”のが大事です。
3)数字で見ると「リターンは欲しい、でもリスクは抑えたい」という設計

出所:参考記事の数値をもとに筆者作成
販売資料では、1986年〜2025年の長期データとして、
- 年率リターン(例):約11%
- リスク(標準偏差):S&P500より低い
といった比較が示されています。
要するに、狙いはこうです。
「S&P500ほどブン回さない。でも、ただ守るだけじゃなく、ちゃんと増やす」
オルカン・S&P500に“プラスして持つ”メリット/デメリット
メリット:暴落時に「精神が折れにくい」可能性
40代の投資で一番怖いのは、暴落そのものより、
「暴落で売ってしまう」→「戻りで買えない」のコンボです。
バランス型の役割は、下げを浅くして、続けやすくすること。
あなたが実践している積立(例:つみたてNISA公開)を“続けるための土台”として、こういう選択肢はアリです。
デメリット:コストが高い(=“目的なし”で買うと負けやすい)
TRプライスはアクティブ運用なので、信託報酬はインデックスより高くなります。
販売会社ページでは信託報酬が年1.2375%と示されています。
オルカンやS&P500の超低コスト(0.0x%台)に慣れていると、ここは必ず理解しておくべき点です。
だから私は、こう考えます。
「コストを払ってでも、下げ局面で“投資をやめない仕組み”を買う」
目的がハッキリしているなら、コストは意味を持ちます。
この情報から想定される「上がる株/下がる株」をロジックで考える
いきなり個別銘柄の断言はできません(未来は誰にも確定できないため)。
ただし、“資金の流れ”から「起きやすい現象」は整理できます。
上がりやすい(追い風になりやすい)領域
- 運用会社(アセットマネジメント):アクティブ投信が売れるほど、手数料収入の土台が厚くなる
- 販売チャネル(銀行・証券):大型新規設定は販売側の収益機会になりやすい
- クレジット市場(社債):債券を厚めに使う戦略が注目されるほど、債券商品の存在感が増す
下がりやすい(相対的に弱くなりやすい)領域
- 「オルカンorS&P500だけで十分」派の“追加資金”:積立は継続でも、余剰資金の行き先が分散する可能性
- 短期で高リスク一点張りの投資行動:バランス戦略が広がるほど、“全ツッパ”の魅力は相対的に薄れる
大事なのは、「上がる株当て」より、家計として“負けにくい構造”を作ることです。
資産配分の考え方は、直近の資産公開やポートフォリオ公開の記事も参考になります。
40代サラリーマンの現実解:コアはインデックス、サテライトで“守りの成長”
私は基本、コア(中心)はオルカンやS&P500で良いと思っています。
そのうえで、サテライト(補助)に「役割の違うもの」を足すのが現実的。
例:シンプルな考え方(例なので比率は家庭で調整)
- コア:オルカン/S&P500(合計70〜90%)
- サテライト:TRプライス(5〜15%)
- さらに分散:金(0〜10%)など(例:金の買い方ガイド)
そして忘れがちですが、投資より効くのが固定費。
手元資金の余裕が増えれば、暴落でも売りにくくなります。通信費の見直し(例:格安SIMで節約)みたいな“地味だけど強い”施策も、結局いちばん再現性があります。
注意点:TRプライス/ロングショートは「万能」ではない
- バランス型でも下がるときは下がる(株を持っている以上は当然)
- ハイイールド債は景気悪化に弱い(信用不安が出ると値下がりしやすい)
- ロングショートはデリバティブ活用・グロス7倍など、仕組みが複雑(理解してから少額で)
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まとめ:オルカン・S&P500の次に大事なのは「続けられる設計」
2025年11月の新規設定で、TRプライスが1,715億円を集めました。
この規模は「流行り」だけで説明しにくい。
オルカン・S&P500が“攻めの王道”なら、TRプライスは“守りの成長”として刺さった、というのが私の解釈です。
40代の資産形成は、派手さよりも、
「暴落でも投資をやめない仕組み」
を作れるかが勝負です。
あなたの家計にとって、TRプライスが「続けるための補助輪」になるなら、検討する価値はあります。
迷ったら、まずはコアの積立を守りつつ、サテライトは小さく試す。
それがいちばん現実的で、再現性が高いと思います。


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