2025年12月、日銀が追加利上げ(政策金利の誘導目標を0.75%程度)へ――。ニュースでは「預金金利が上がる」「金利のある世界が戻る」といった前向きな見出しも目立ちます。
ただ、40代サラリーマン家庭の体感は、たぶんこうです。
- 預金金利は上がった気がしない
- 住宅ローン(変動)のほうが先に怖い
- 物価は下がっていない(むしろ高い)
この記事では、「利上げなのに、なぜ生活がラクにならないのか」を数字で分解し、そこから導ける将来シナリオと、家計が今すべき現実的な対策をまとめます。
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まず結論:「0.75%」は“朗報”でも“悲報”でもない。家計に効くのは「実質金利」
日銀は2025年12月19日の決定で、短期金利(無担保コール翌日物)を0.75%程度へ誘導する方針を示しました。
出所:日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2025年12月19日)」
ただし、ここで重要なのが実質金利です。日銀総裁の講演でも、「名目金利から物価上昇率を差し引いたもの」という考え方が説明されています。
出所:日本銀行「植田総裁講演(2025年12月1日・名古屋)」
つまり、家計目線の本質はこの式。
- 実質金利 = 名目金利 − 物価上昇率
総務省統計局の消費者物価指数(CPI)は、直近でコアCPIが前年比+3.0%程度という説明が一般的に共有されています(最新の公表値は統計局のページで確認可能)。
出所:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)月次」
これを当てはめると、政策金利が0.75%でも、実質はざっくりマイナス圏に残りやすい。日銀の公表文でも「実質金利は大幅なマイナス」と明記されています。
出所:日本銀行(同資料)

政策金利0.75% − 物価上昇率3.0% = 実質政策金利 -2.25%(概算)
政策金利0.75% − 物価上昇率3.0% = 実質政策金利 -2.25%(概算)
| 項目 | 割合(%) |
|---|---|
| 政策金利(名目) | 0.75 |
| 物価上昇率(コアCPI前年差) | 3.00 |
| 実質政策金利(0.75-3.00) | -2.25 |
この瞬間に、今日のテーマ「金利のある世界は幻想?」の答えが半分出ます。
“名目で金利がある”のは事実。だが“実質で金利がある”とは言いづらい。
これが、家計がラクにならない最大要因です。
何で騒いでるの?(みんながザワつく3つの理由)
理由①:ローン・借入の「支払い増」が先に来る(預金の増加は遅い)
利上げで家計に一番刺さるのは、預金ではなく借入(特に住宅ローン変動)です。
例として、4,000万円・35年の元利均等返済で、金利が上がった場合の毎月返済(概算)を置きます(※あくまで目安。実際は残高・優遇・返済状況で変わります)。
| 金利(年%) | 毎月返済額(円・概算) |
|---|---|
| 0.6 | 105600 |
| 0.9 | 111100 |
| 1.2 | 116700 |
| 2.0 | 132500 |
「預金が増えるから相殺できるでしょ?」と思いたいところですが、次の理由②が効いてきます。
理由②:「預金金利アップ」は実質で見ると“焼け石に水”になりやすい
普通預金の平均金利は、日銀の時系列統計で確認できます。
出所:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」
ここでは、記事理解を優先して普通預金0.183%、物価上昇率3.0%という代表値で“実質”を可視化します(実際の最新値は上記統計・CPIで確認してください)。

普通預金0.183% − 物価上昇率3.0% = 実質 -2.817%(概算)
普通預金0.183% − 物価上昇率3.0% = 実質 -2.817%(概算)
| 項目 | 割合(%) |
|---|---|
| 普通預金金利(名目) | 0.183 |
| 物価上昇率(コアCPI前年差) | 3.00 |
| 実質預金金利(0.183-3.00) | -2.817 |
この図が意味するところは、かなりシンプルです。
- 名目の預金金利が少し上がっても、物価がそれ以上に上がるなら購買力は落ちる
- 「貯金しているのに、なんか苦しい」の正体はこれ
理由③:日銀は“上げたくても上げられない”制約がある(国の利払い問題)
利上げが進むと、国の利払い負担が増えます。日本の財政状況は、財務省の資料や国際機関データで全体像が把握できます。
家計に置き換えるなら、こういう話です。
借金(元本)が大きい家庭は、金利が上がるほど利息が重くなる → だから金利上昇に耐えられる範囲が限られる。
日本も同じ構造があり、利上げは“やれば良い”ではなく、“できる速度”に上限が出ます。これが「金利のある世界は幻想かも」と言われる理由のひとつです。
何がすごいの?(今回の利上げの“本当のインパクト”)
インパクト①:数字よりも「前提が変わった」ことが大きい
0.75%という数字自体より、“金利が動く前提”が社会に戻ってきたことが大きい。家計も企業も、「金利ゼロ前提の設計」から、少しずつ作り替えが必要になります。
インパクト②:家計は「預金が増える」より「ローンが増える」を先に感じやすい
ここまでの図2・図3の通り、体感の順番はだいたいこうなります。
- ① 物価が高い(先に来ている)
- ② ローン返済がじわじわ増える(これから来る)
- ③ 預金金利がちょっと上がる(来るけど弱い)
この“非対称”が、生活のしんどさを増幅します。
「金利のある世界」は幻想だった?――私の結論(オリジナル考察)
結論はこうです。
- 貯める側(預金中心)にとっては、まだ幻想に近い(実質で負けやすい)
- 借りる側(ローンあり)にとっては、もう現実(負担増が先に来る)
つまり、私たち40代家庭の現実は――
「インフレで削られながら、ローン負担が増える」という二重苦になりやすい。
だから“やるべきこと”も、投資のテクニックより先に、家計の耐久力を上げることになります。
将来予測:2026〜2027年に起こりそうな3つのシナリオ

4,000万円・35年の元利均等(ボーナス払いなし)での概算シミュレーション
日銀の見立てでも、物価がいつまでも3%固定ではなく、落ち着く可能性や政策の見極めが示唆されています。
出所:日本銀行(2025年12月19日 公表文)
シナリオA:物価が鈍化 → 利上げ停止(家計は“静かな改善”)
- 物価高が落ち着き、実質賃金が改善
- 政策金利は0.75%近辺で様子見が長引く
家計の動き:変動ローンは急騰しにくい。固定費の削減と貯蓄率改善が効く。
シナリオB:物価が粘る → 追加利上げ(家計負担は“本格化”)
- 価格転嫁が続き、2%台後半〜3%近辺が長引く
- 日銀は“実質マイナス”を縮めるため、追加利上げの圧力
家計の動き:住宅ローン(変動)の見直し議論が増える。ローン・保険・通信の固定費を最適化できた家庭が勝つ。
シナリオC:景気が弱いのに物価が下がらない(スタグフ気味)
- 利上げで景気を壊せない
- でも円安・供給制約で物価が落ち切らない
家計の動き:預金だけでは購買力が削られる。生活防衛資金を確保しつつ、長期分散(新NISA等)の重要度が増す。
株はどこが上がり、どこが下がりやすい?(セクター整理)
ここは個別銘柄の推奨ではなく、金利上昇局面での一般的傾向を“地図”として整理します。
| セクター | 金利上昇の影響 | 理由(要点) |
|---|---|---|
| 銀行 | 追い風になりやすい | 貸出金利上昇で利ざや改善が期待されやすい |
| 保険 | 追い風になりやすい | 運用利回り改善が期待されやすい |
| 不動産 | 逆風になりやすい | 資金調達コスト増、割引率上昇で評価が下がりやすい |
| REIT | 逆風になりやすい | 分配利回りの相対魅力低下、借入コスト増 |
| 高PERグロース | 逆風になりやすい | 将来利益の割引率上昇で理論価値が下がりやすい |
| 有利子負債が重い業種 | 逆風になりやすい | 支払利息増で利益が削られやすい |
補足として、金利だけでなく為替も絡みます。円高なら輸入物価は下がりやすい一方、輸出は逆風になり得ます。「どっちが正しい」ではなく、家計が耐えられる設計が大事です。
40代サラリーマン家庭が“今すべきこと”5選(再現性パート)
① 家計の「金利感応度」を見える化する(最優先)
まずは棚卸しです。家計は感情ではなく、数字で守れます。
- 住宅ローン:変動 or 固定、残高、返済比率(手取りに対して何%か)
- 車・教育・リフォーム:借入予定の有無
- 生活防衛資金:現金で何か月分あるか
家計の全体像は、当ブログの公開データも参考にしてください。
→ 手取り公開 / 家計簿・支出公開 / 家計簿アーカイブ
② 生活防衛資金は「金利で増やす」より「目的で守る」
預金金利が上がっても、実質で負ける可能性が高いなら、預金の役割は“増やす”ではなく“守る”です。
- 生活防衛資金(半年〜1年分):安全性最優先(預金)
- 数年以内に使うお金:価格変動の小さい手段を検討(商品特性は要確認)
- 10年以上の資産形成:長期・分散・積立(新NISA/iDeCoなど)
投資の基本用語が不安な方は先にこちら。
→ 用語集
③ 固定費は「利上げ局面ほど効く」ので、早めに削る
利上げ局面は、ローン返済や物価上昇で家計が硬くなります。だからこそ、確実に効くのが固定費。
- 通信費:毎月の削減は“永久に効く”
- サブスク:気づかない小額が積み上がる
具体例(実録)はこの2本が強いです。
→ 【通信費削減】格安SIMで年間9.1万円節約へ
→ 【実録】毎月引き落とされる謎の508円…ヤフー課金の正体と解約手順
④ 資産形成は「預金金利アップ」を過大評価しない(インフレ耐性を意識)
実質で負ける環境では、預金だけに偏ると購買力が削られやすい。ここで現実解になるのは、派手な売買ではなく長期の分散です。
当ブログの投資実録はここから辿れます。
→ 投資・資産形成
参考:積立のリアル(公開記事)
→ 【つみたてNISA公開】2025年6月運用実績と銘柄内訳
→ 【初心者向け】iDeCoとは?NISAとの違いと40代から始めるべき理由
⑤ 「稼ぐ力」のテコ入れが、結局いちばん効く
インフレ局面で家計を根本から強くするのは、収入(手取り)の底上げです。昇給・転職・副業の是非は家庭事情で違いますが、少なくとも評価される働き方・スキルの棚卸しは、コストゼロでできます。
「自分の手取り・控除の構造」を知るのも大事。実例はこちら。
→ 【給与明細の内訳分析】支給・控除の中身を全公開
→ 【年収公開】2024年リアル源泉徴収票|総支給・控除・手取り
よくある疑問(Q&A)
Q. 利上げしたのに、なんで生活がラクにならないの?
A. 実質金利で見ると、まだマイナス圏にとどまりやすいからです。政策金利が0.75%でも、物価上昇率がそれ以上なら、購買力は回復しづらい。
出所:日本銀行(2025年12月19日)/総務省統計局 CPI
Q. 住宅ローンは固定に借り換えるべき?
A. 一律の正解はありません。固定は安心ですがコストも上がりやすい。代表例としてフラット35の金利情報は公式で確認できます。
出所:住宅金融支援機構「フラット35 金利情報」
Q. “結局なにを見ればいい?”
A. 家計が見るべきはこの3つです。
- 物価(CPI)…出所:総務省統計局
- 政策(短期金利)…出所:日本銀行
- 預金金利(店頭表示)…出所:日本銀行 時系列統計
まとめ:「金利のある世界」は“貯金に優しい世界”とは限らない
- 日銀は政策金利の誘導目標を0.75%程度へ(2025年12月)。
出所:日本銀行 - ただし家計に効くのは実質金利。物価が高い限り、実質はマイナスになりやすい。
出所:総務省統計局 CPI - 預金金利アップは“嬉しいが弱い”。ローン負担増のほうが先に効きやすい。
- 40代家庭の現実解は、①金利感応度の見える化 ②固定費最適化 ③長期分散の資産形成。
最後に、当ブログの全体導線を置いておきます。
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