ここ数年、金(ゴールド)の価格は史上最高値圏で推移し、「また最高値更新」「過去最⾼を更新」というニュースが続いています。
その裏側で、静かに動いているのが「中国の金買い占め」。公式発表の10倍、最大250トン規模で買っているのでは?という指摘まで出ています。
この記事では、
- なぜ金価格がここまで高騰しているのか
- 中国の「密かな金買い」の何がそんなに問題なのか
- この流れで、どんな株や資産が上がりやすくて、どこが厳しくなりそうか
- 40代サラリーマン家庭は、金をどう位置づければいいのか
を、できるだけ専門用語をかみ砕きながら解説します。
- まずは全体像:なぜ今「金価格がバブル級」と言われるのか
- 「最大250トン」って何?中国の“密かな金買い占め”を整理する
- 何でこんなに騒いでるの?キーワードは「静かな脱ドル」
- 何がすごいの?金がユーロを抜き「準備資産2位」になりつつある
- 家計目線で分かりやすく:中国の金買い占めが生活に与える影響
- どの株が上昇しそう?中国の金買い占めで“追い風”になるテーマ
- 逆にどこが苦しい?金高騰で“逆風”になりやすい株・業界
- 40代サラリーマンがやりがちなNG行動と、現実的な防衛策
- 我が家ならこうする:サンプルポートフォリオとイメージ
- これからのニュースの見方:何をチェックすればいい?
- まとめ:金ブームに踊らされず「通貨リスク時代の保険」として捉える
まずは全体像:なぜ今「金価格がバブル級」と言われるのか
- 世界の金需要は2024年に約5,000トンと過去最高クラス
- 中央銀行が3年連続で年間1,000トン超の金を買い続けている
- インフレ・地政学リスク・ドル不安が重なり「守りの資産」として金にマネーが集中
2024〜25年の金価格はどれくらい上がった?ざっくりイメージ
数字は日々動きますが、ざっくり言うと「ここ数年で数十%単位で上昇し、過去最高値圏」というのが現在地です。
株と違ってドカンと2倍3倍というより、じわじわ長期に上がっていくイメージですが、2024〜25年はそのスピードが一段と加速しました。
世界の中央銀行が金を買いまくっているという事実
金価格を支えている一番大きなプレーヤーが「各国の中央銀行」です。
世界中の中央銀行は、2022年以降、毎年1,000トン前後の金を買い増しており、2024年も1,000トン超の買い越しとなりました(出所:World Gold Council「Gold Demand Trends 2024」)。
これだけの量を国家レベルで買っているので、ちょっとやそっとの売りでは価格が崩れにくい構図になっています。
株でも債券でもなく「金」にマネーが集まる3つの理由
- インフレ・通貨安への備え
各国で物価が上がり、通貨の価値がじわっと目減りする中、「紙のお金」ではなく「金」というモノで価値を持ちたいという動きが強まっています。 - 地政学リスク(戦争・対立)
ロシア制裁のように「ドル建て資産が凍結される」リスクが現実になったことで、「相手国の金融制裁を受けにくい資産」として金が注目されています。 - 株・債券の代わりの“逃げ場所”
株式が割高、債券は利回りが低いという状況だと、ポートフォリオの一部を金に移す動きが出やすくなります。
「最大250トン」って何?中国の“密かな金買い占め”を整理する
公式発表は月2トン前後…でも誰も信じていない
中国人民銀行(中国の中央銀行)がIMFなどに報告している公式の金購入量は、月2トン前後にとどまる時期が続いています。
しかし、ロンドン市場からの金の流出量やスイス経由の輸出入データなどを総合すると、「実際はその何倍も買っているのでは?」という分析が増えています。
市場推計は「公式の10倍、最大250トン」規模
ソシエテ・ジェネラルなどの分析では、中国の実際の金買いは「公式発表の10倍程度、最大250トン規模」に達しているとの推計もあります。
また別のリサーチでは、2024年だけで500トン超を“こっそり”買い増したとの指摘もあり、中国の実際の金保有量は5,000トン級に達しているのではないか、と見られています(出所:World Gold Council「Gold reserves by country」、Money Metals「China’s gold reserves going through the roof」)。
なぜわざわざ“隠れて”買うのか:中国が恐れているもの
中国が金の買い付けをあえて小さく見せたい理由は、ざっくり言うと次の3つです。
- アメリカに警戒心を持たれたくない
「脱ドル」を意識した動きだとあからさまに分かると、米国との政治的・経済的な対立が激しくなるリスクがあります。 - 市場にバレると価格がさらに急騰してしまう
「中国が大量買いしている」とハッキリした瞬間、投機筋も一斉に買いに回り、金価格が自分たちにとっても買いにくい水準まで高騰してしまいます。 - 自国通貨・人民元の信用と絡む
将来、金を裏付けとした金融商品や、人民元の信認の一部として金を使いたい場合、静かにコツコツ貯めておいた方が有利です。
何でこんなに騒いでるの?キーワードは「静かな脱ドル」
ロシア制裁以降、「ドル資産を凍結されるリスク」が現実に
ロシアのウクライナ侵攻以降、アメリカや欧州はロシアの外貨準備の一部を凍結しました。
「国の外貨準備ですら政治的判断で凍結される」という事例は、多くの国にとって衝撃でした。
これを見た新興国を中心に、
- ドル建て国債だけに頼るのは危ない
- ドル以外の資産でも外貨準備を分散しておきたい
という発想が一気に広がり、その受け皿の1つが「金」になっています。
金は「誰の負債でもないお金」
ドルやユーロは、発行国の政府や中央銀行の信用に依存する「紙のお金」です。
一方、金は「誰の負債でもない」実物資産。誰かの約束が破られて紙切れになるリスクはありません。
だからこそ、制裁リスクや信用不安が高まると、金の価値が見直されやすくなります。
ドル一強から「ドル+金」へ?準備資産の構図が変化
欧州中央銀行(ECB)のレポートによると、2020年代に入り、金はユーロを上回る規模で中央銀行の準備資産として保有されるようになり、「ドルに次ぐ第2の準備資産」として位置づけられつつあります(出所:Financial Times「Gold overtakes euro as global reserve asset」)。
これは、世界のお金のルールが少しずつ変わりつつあるサインとも言えます。
何がすごいの?金がユーロを抜き「準備資産2位」になりつつある
中央銀行の金保有が“ブレトンウッズ時代”並みに
ECBや世界金協会(World Gold Council)の分析では、中央銀行が保有する金準備の量は、戦後の「ブレトンウッズ体制」以来の高水準に戻りつつあります。
ドルの信認そのものがすぐに揺らぐという話ではありませんが、「ドル一強+少しだけ金」から「ドル+金をミックス」へと、世界のマネーの配分を変え始めている、と捉えることができます。
40代サラリーマンの老後資金と、通貨不安の関係
私たちの老後資金の多くは「円」で貯めています。
しかし、インフレや円安が進めば、同じ1,000万円でも買えるモノの量が減るリスクがあります。
世界の中央銀行がやっているのは、簡単に言うと「自分の国の通貨だけに依存しないようにしている」という動きです。
個人レベルでも、
- 円だけでなく、外貨建て資産や株式を持つ
- 一部を金などの実物資産に振り分ける
という発想は、長期の資産防衛という意味では同じ方向を向いています。
家計目線で分かりやすく:中国の金買い占めが生活に与える影響
結婚指輪・ジュエリー・仏具…実物の金製品がじわじわ値上がり
身近なところでは、
- 結婚指輪・ネックレスなどのジュエリー
- 金の仏具や仏像
- 純金コイン・金貨
といった「見える金」の価格がじわじわ上がっています。
同じ重さの指輪を買うにも、数年前より明らかに高くなっている、という感覚をお持ちの方も多いはずです。
金価格上昇で恩恵を受ける金融商品もある
一方で、金価格の上昇は、以下のような金融商品にとっては追い風になります。
- 金価格に連動する投資信託・ETF
- 金を組み込んだバランスファンド
- 一部の外貨建て保険(運用資産に金を含む商品)
あくまで「商品設計による」ので一概には言えませんが、保険や投信の資料に「金」「コモディティ」と書かれている場合、金高騰の影響を受ける可能性があります。
インフレ+円安+金高騰で「実質的な生活コスト」が上がる
金そのものを買っていなくても、
- インフレで物価が上がる
- 円安で輸入品価格が上がる
- 金高騰で一部のモノ・サービスが値上がりする
という三重苦になると、家計への圧力はじわじわ増していきます。
だからこそ40代のうちから、「守りの資産」をどう組み込むかを考えておくことが大切になってきます。
どの株が上昇しそう?中国の金買い占めで“追い風”になるテーマ
ここではあくまで「テーマ」としての話であり、特定銘柄の推奨ではありません。
「こういう業種・商品は恩恵を受けやすい」という視点で整理していきます。
① 金価格とほぼ連動する「金価格連動ETF・純金上場信託」
東京市場だと、金価格に連動する国内ETFや「純金上場信託」が複数上場しています。
これらは基本的に金価格に連動して動くため、
- 中国や各国の中央銀行の金買い
- 地政学リスクで金が買われる
といった局面で、価格上昇の恩恵を受けやすい商品です。
② 金鉱株・ロイヤリティ企業:金価格が上がると利益が増えやすい
「金鉱株」と呼ばれる、金鉱山を持つ企業の株式や、採掘企業からロイヤリティ(権利収入)を受け取るビジネスを展開する企業は、金価格が上がると売上や利益が伸びやすい構造です。
世界株式のなかには、「金鉱株ETF」として複数銘柄に分散して投資できる商品もあります。
③ 採掘・精錬・地金商など金サプライチェーン関連
金の採掘・精錬・販売(地金商)に関わる企業も、長期的にはビジネスチャンスが広がります。
ただし、採掘コストの上昇や環境規制など、逆風要因もあるため、「金価格が上がる=必ず儲かる」とは限らない点には注意が必要です。
④ 中国・インド向けに強い宝飾品ブランド
中長期的には、中国やインドなど、新興国の富裕層・中間層の拡大に伴い、高級ジュエリーブランドが恩恵を受ける可能性があります。
短期的には金価格高騰で販売個数が減っても、「より高額な一点物」「富裕層向けライン」の売上が伸びることでカバーするケースもあります。
逆にどこが苦しい?金高騰で“逆風”になりやすい株・業界
① 中価格帯の宝飾品メーカー・小売り
一般消費者向けの中価格帯ジュエリーは、
- 金価格上昇 → 販売価格の上昇
- 家計の負担増 → 購入を控える
という二重のダメージを受けやすく、数量ベースの販売は落ち込みやすくなります。
② 金を大量に使う電子部品・工業用途メーカー
半導体や電子部品、精密機器などで、金は配線や接点に使われています。
代替素材へのシフトなどである程度は吸収しますが、金価格の高騰はメーカーのコスト圧力になります。
価格転嫁できない業界・企業ほど、利益率への悪影響が出やすくなります。
③ 新興国で「金高+通貨安」が同時進行する場合
一部の新興国では、通貨安とインフレが進むと、
- 人々が自国通貨を信用せず、金やドルを買いに走る
- 国内の金融システムが不安定になる
といった悪循環に陥るケースもあります。
その国の株式市場は、短期的には大きく売られる可能性もあり、エマージング株投資には通貨・政治リスクのチェックがより重要になります。
④ 「リスクオフ」局面では株式全体にも逆風
金が急騰するときは、しばしば「リスクオフ(リスクを避けるムード)」が高まっているタイミングです。
そうなると、
- 安全資産(国債・金)への資金流入
- 株式・信用リスク資産からの資金流出
が同時に起きるため、金が上がる=株が下がる、という動きになることも珍しくありません。
40代サラリーマンがやりがちなNG行動と、現実的な防衛策
【NG】ニュースを見て一気に金を買う「全力フルベット」
「中国が250トン買ってるらしい」「金がユーロを抜いたらしい」と聞いて、
一気に預貯金の大半を金や金ETFに突っ込むのはかなり危険です。
金はたしかに「守りの資産」ですが、
- 配当・利息が出ない
- 価格が下がる時は普通に下がる
- 短期的なボラティリティ(値動きの激しさ)もある
という性質があり、「これだけ持っておけば安泰」という万能薬ではありません。
【NG】よく分からないハイレバレッジの金先物・CFDに手を出す
ネット証券や海外業者では、少ない元本で何倍もの金に投資できる「先物」や「CFD」が簡単に触れてしまいます。
レバレッジを効かせた取引は、値動きが逆に振れた時の損失も何倍にもなり、最悪の場合、元本以上の損失になるケースもあります。
「守りの資産」のはずが、一気にハイリスク・ハイリターンになってしまうので注意が必要です。
【OK】家計全体のアセットアロケーションの中で金の割合を決める
現実的な考え方としては、まず次のようにざっくり棚卸しするところから始めるのが無難です。
- 現金・預貯金:〇%
- 株式(投資信託・ETF含む):〇%
- 債券・社債・個人向け国債:〇%
- 金・コモディティ:〇%
その上で、「守りの資産」として金を5%前後〜多くても10%程度にとどめる、というのが一つの目安になります(あくまで一般論)。
これなら、金価格が大きく動いても、家計全体としてのダメージや影響をコントロールしやすくなります。
積立NISA・iDeCoとのバランスをどう取るか
40代サラリーマンの王道は、やはり「積立NISA・iDeCoでの株式インデックス積立」です。
ここに加えて、
- つみたて金ETFを少額組み合わせる
- ある程度資産が貯まってきたら、ポートフォリオの5%程度を金に振り向ける
といった形で、「株の成長」と「金の防衛力」の両方を取りにいく考え方が現実的です。
我が家ならこうする:サンプルポートフォリオとイメージ
例①:守りやや厚めの40代サラリーマン家庭
- 現金・預貯金:40%
- 株式・投信(国内外インデックス):40%
- 債券・社債・個人向け国債:10%
- 金・コモディティ:10%
子どもの教育費や住宅ローンを抱えている家庭なら、このくらいのバランスでも十分「攻め」と「守り」の両方を意識できます。
例②:投資経験が長くリスク許容度高めのケース
- 現金・預貯金:20%
- 株式・投信:60%
- 債券:10%
- 金・コモディティ:10%
リスク許容度が高い場合でも、金の比率を大きくしすぎないことがポイントです。
金は長期で見れば「資産を守るための保険」に近い役割と割り切った方が、メンタル的にも安定しやすくなります。
これからのニュースの見方:何をチェックすればいい?
① 中国人民銀行の金準備の公表値と、その「裏」を読む
日々のニュースでは、「中国人民銀行が金準備を〇トン増やした」といった公式発表が報じられます。
しかし、本記事で見た通り、「本当はもっと買っているのでは?」という見方が市場では一般的です。
ポイントは、
- 公表値が増えている → 少なくとも買い増し継続
- 公表値が増えていない → 裏で輸入などを通じて積み増している可能性も
と、数字の「表」と「裏」を意識しながらニュースを見ることです。
② 世界の中央銀行の金購入データをチェック
世界金協会(World Gold Council)は、四半期ごとに中央銀行の金購入データを公開しています。
「今期も1,000トンペースを維持しているのか」「どの国が買い手・売り手なのか」をざっと眺めるだけでも、金市場の大きな流れを掴みやすくなります。
(出所:World Gold Council「Gold Demand Trends」)
③ 金価格だけでなく「金利」「ドル指数」「地政学ニュース」をセットで見る
金価格は単独で動いているように見えて、実際は
- 米国の金利(特に実質金利)
- ドル指数(ドルの強さ)
- 戦争・制裁・選挙などの地政学ニュース
との組み合わせで大きく動きます。
「なんで今日は金が急騰したんだろう?」と感じたときは、金だけでなく、これらの要因もセットでチェックすると理解が早くなります。
まとめ:金ブームに踊らされず「通貨リスク時代の保険」として捉える
- 中国は公式発表以上のペースで金を買い続けていると見られ、その規模は最大250トン、保有量は5,000トン級との推計もある
- 背景には「静かな脱ドル」「ドル資産凍結リスクへの備え」があり、世界の中央銀行も同じ方向を向いている
- 金は短期で投機する対象というより、長期で見た「通貨リスクに備える保険」という性格が強い
- 40代サラリーマン家庭では、ポートフォリオの一部(5〜10%程度)を金に回すくらいが現実的な選択肢になりやすい
金価格のニュースは派手で、「今買わないと乗り遅れるのでは?」という焦りを誘いやすいテーマです。
しかし、世界の中央銀行がやっているのは、10年単位で粛々と進める「通貨リスクへの備え」です。
私たち個人も、それにならって
- 生活防衛資金・教育費・老後資金のバランス
- 株式・債券・現金・金の役割分担
を整理しながら、無理のない範囲で金をポートフォリオに組み込んでいくのが、現実的で再現性の高いアプローチと言えます。
※本記事は特定銘柄や金融商品の購入を推奨するものではなく、一般的な情報提供を目的としたものです。投資判断は、ご自身のリスク許容度やライフプランを踏まえ、必ずご自身の判断と責任で行ってください。


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