世界のトイレ市場と日本企業の株価展望|TOTO・LIXILの未来戦略

世界のトイレ市場と日本企業(TOTO・LIXIL)の株価成長を象徴するインフォグラフィック コラム
図:日本のスマートトイレ技術と欧州市場を背景に、世界市場の拡大と株価上昇をイメージしたインフォグラフィック

これまで海外出張をできるだけ避けてきた私ですが、ついに行ってきました。時期は2024年の春・秋、そして2025年の春の計3回。出張先はドイツとイタリア、宿は会社手配の3つ星以上(ヒルトン含む)と条件は十分のはずでした。ところが、最もストレスだったのがトイレ事情です。

便座はつめたい、ウォシュレットはない、トイレットペーパーは厚くて固く、力を入れると破れる。ホテルでこれなら外出先は推して知るべし。イタリアでは便座そのものがないトイレも少なくなく、「女性やご高齢の方はどうやって済ませているのだろう…」と心配になるほどでした。

一方、日本のトイレはご存じのとおり、清潔・快適・環境性能の三拍子がそろい、世界でも類を見ない進化を遂げています。つまり、この“差”は単なる好みの違いではなく、世界のトイレ市場における伸びしろそのものだと、個人的に捉えています。

本記事では、私の体験を入口にしつつ、データで「世界のトイレ事情」を整理し、日本製トイレの強み、海外での拡大予測、そしてTOTO・LIXILなど日本企業に対し個人的な見解による株価展望まで掘り下げていきます。


世界のトイレ事情(地域別データと課題)

  • 世界では19億人が依然「基本的なトイレ」にアクセスできない(WHO/UNICEF)
  • 欧米の一般家庭では温水洗浄便座の普及はまだ数%レベル
  • 日本は家庭普及率80%超という“別世界”

世界では35億人が“安全に管理された衛生”を欠き、そのうち約4億人が屋外排泄を余儀なくされています(出所:WHO/UNICEF JMP 2023)。一方、欧州・北米はホテルや一部高級住宅から導入が進む段階。日本は逆に一般家庭で温水洗浄便座普及率80%超(出所:日本レストルーム工業会)です。


日本製トイレの強み(清潔・快適・環境)

  • 清潔:自動洗浄・除菌水・ノズル洗浄
  • 快適:暖房便座/自動開閉/静音フラッシュ
  • 環境:節水・節電=紙の使用削減にもつながる
日本の温水洗浄便座普及率(家庭)
図:日本の温水洗浄便座普及率(家庭)|出所:日本レストルーム工業会

日本における温水洗浄便座の家庭普及率グラフ

図:日本では家庭における温水洗浄便座の普及率が80%を超え、世界でも突出している(出所:日本レストルーム工業会)。

TOTO:EWATER+(きれい除菌水)、トルネード洗浄など「衛生×静音×節水」の統合技術。累計出荷台数は6,000万台超。
LIXIL:アクアセラミックなどの素材革新で「汚れがつきにくいトイレ」を実現。グローバルではGROHEのデザイン力も強み。


世界市場の拡大予測(2030年までのトレンド)

  • 市場規模:2023年95.7億ドル → 2030年215.5億ドル(CAGR 12.6%)
  • 欧米:ホテルから一般家庭へ波及
  • 新興国:衛生改善ニーズが急拡大
世界スマートトイレ市場の成長予測(2023〜2030年)
図:世界スマートトイレ市場の成長予測(2023〜2030年)|出所:Grand View Research

世界スマートトイレ市場の成長予測グラフ(2023〜2030年)

図:世界のスマートトイレ市場は2023年約95.7億ドルから2030年に215.5億ドルへ成長見込み(出所:Grand View Research)

欧州は2024年時点で収益シェア35.6%という分析もあり(出所:Mordor Intelligence)、APACは成長率で最速。
加えて、TOTOは「ウォシュレット出荷KPI」を開示しており、2024年度306万台 → 2026年度350万台目標と数量成長が“見える化”されています(出所:TOTO 統合報告書2025(財務・非財務データ集))。

TOTOウォシュレット出荷:実績 vs 目標
図:TOTOウォシュレット出荷(実績 vs 目標)|出所:TOTO 統合報告書2025

TOTOウォシュレットの出荷台数(実績と2026年度までの目標)

図:TOTOはウォシュレット出荷を2024年度306万台から2026年度350万台に拡大予定(出所:TOTO統合報告書2025


ホテル導入で波及するプレミアム需要(ドイツ・イタリア)

  • ドイツ・イタリアの高級ホテルで導入が進み、差別化要因に
  • ミュンヘンでは400台超を一括導入した事例あり
  • 観光都市での「体験」が普及を後押し
欧州ホテル導入事例(ドイツ・イタリア)
図:欧州ホテル導入事例(地名付きイメージ)。ミュンヘン(Marriott City West)では400台超を採用、ヴェローナ・ベネチアでもショールーム・展示経由で導入が進む。参考:TOTO欧州ニュース・導入事例。

株価上昇が見込まれる日本企業(定量データ×戦略の仮説)

  • TOTO:プレミアム市場で安定成長、数量KPIが明確
  • LIXIL:構造改革が進み、黒字回復とリレーティング期待
  • 共通リスク:為替・原材料高・中国景気

Company Fiscal Year Revenue (JPYbn) Operating profit/Core earnings (JPY bn) Margin (%) Key KPI
TOTO FY2025 724.5 48.5 6.7% WASHLET 3.06m → 3.50m
LIXIL FY2025 (IFRS) 1504.7 31.3 2.1% Europe & IMEA recovery

企業バリュエーションの最新比較(2025年時点)

企業名 PER PBR 配当利回り
TOTO(5332) 約20.97倍 約1.24倍 約2.57%
LIXIL(5938) 約60倍前後(推計) 約0.75倍 約4.9〜5.0%

※出所:Marketscreener、IRBANK、Investing.com、CompaniesMarketCap


企業バリュエーションの推移を見る

■TOTO(5332):PERは直近21倍前後、PBRは1.2〜1.5倍で安定。

TOTO株式情報

TOTO株式情報

■LIXIL(5938):PERは高水準(60倍前後)だが、PBRは0.7倍前後で低位

LIXIL

LIXIL

参考:株探(TOTO PERヒストリカル)株探(LIXIL PERヒストリカル)IRBANK(TOTO PBR)


まとめ|“日本の当たり前”が、世界では伸びしろ

  • 世界:衛生アクセスの課題が残る一方、欧州・北米のプレミアム需要がホテルを起点に顕在化(WHO/UNICEF、各種報道)
  • 日本:家庭普及率80%超の技術・体験が輸出可能な価値になっている
  • 企業:TOTOは数量KPI×プレミアム戦略で読みやすい成長、LIXILは構造改革+地域ミックスで再評価余地

※本記事は情報提供であり、特定銘柄の売買を勧誘するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。主要データは一次情報を優先してご確認ください。


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