【次に動くのは?】国内自動車工場“再編予備軍”ランキング|トヨタ・ホンダ・日産・スズキを5指標で徹底比較
導入──「追浜ショック」は序章に過ぎない
追浜工場の閉鎖は、日本の自動車業が抱える「生産過剰×EV化遅れ×人件費高」の凝縮版だった。読者のあなたが気になるのは、「次に縮小・撤退の候補になる工場はどこか?」 という“自分ごと”だろう。
本稿では、国内主要20工場を 〈稼働率〉〈変動コスト指数〉〈投資回収年数〉〈需要トレンド〉〈CO₂負債〉 という5つの定量指標でスコア化し、「黄信号エリア」を可視化する。読み終えれば、飲み会で“未来を読む人”として一目置かれるはずだ。
再編を左右する5大指標とは?
稼働率──80%が赤字転落ライン
固定費が重い自動車工場では、稼働率80%を切ると利益が蒸発する。追浜は58%まで落ち赤字こそ回避したが、利益貢献度はゼロだった。
自動車工場は稼働率が 80 %を下回ると固定費を回収できず赤字化 しやすいと、GlobalDataがまとめた欧州工場調査でも指摘されています。2024年の欧州平均稼働率は60 %台まで低下し「早期閉鎖検討ライン」として80 %が示されています。出典 1
変動コスト指数──人件費+物流+電力
海外拠点を1.0とした場合、日本の平均は1.74。特に電力単価と人件費の差が大きい。
JETRO「投資コスト比較ツール」で人件費+電力+物流コストを指数化すると、日本(関東)は ASEAN4 平均を1.0とした場合 1.74。電力単価の高さが主因です。出典 2
投資回収年数──EVライン更新費用
バッテリー組込セルや高張力鋼プレス更新にかかる数百億円を「売値−変動費」で割り戻した指標。10年超は“レッドライン”。
市場需要トレンド
各工場が生産する車種の国内外ライフサイクルと販売台数の伸長率。ハイブリッド/軽自動車が堅調、セダンは縮小。
ESG/CO₂負債
再エネ比率と排出量原単位。投資家の圧力で「排出多い工場→閉鎖・改修」の圧が高まる。
トヨタ:東富士・田原・堤工場は安泰か?
稼働率95% vs 1兆円EV投資
田原はプリウス/ハリアーで稼働率95%、だがEV用ライン増設には新たに1兆円が必要とも言われる。
トヨタ田原工場はプリウス/ハリアー増産で稼働率 95 %を維持する一方、Nikkei Asia は「EVバッテリー投資に1 兆円を計画」と報じています。出典 3
東富士研究拠点化
車両生産はゼロになったが、コネクテッドシティ実証で5,000人の雇用を確保。製造ゼロでも地域を“跳ねる街”に変えたモデルケースだ。
ホンダ:寄居・鈴鹿・狭山跡が示す教訓
寄居は最新設備だが稼働率70%前後。EV専用へ舵を切れないと黄信号。
ホンダ寄居工場の稼働率は 2025 年度上期平均で 約 70 %。EV 専用ラインへの改修可否が今後の分岐点と同社ニュースリリースが示唆しています。出典 4
狭山跡はAmazonの物流拠点になり、固定資産税収はプラスに転じた。
2025 年 2 月の地元紙報道によれば、ホンダ狭山工場跡は Amazon の大型物流センター 用地とされ、固定資産税収は年 6 億円増となる見込みです。出典 5
日産:追浜の次は?栃木・いわき工場のシナリオ
全固体電池Pilotラインを持つ栃木は**「聖域」**。いわき(エンジン専用)はEV時代に存在意義を失う懸念あり。固定費削減ターゲットに再浮上する可能性がある。
スズキ・マツダ・SUBARU:地方型工場の強みと弱み
- スズキ相良:インド輸出がクッション。円安が追い風だが軽自動車一本足がリスク。
- マツダ宇品:港湾立地で物流◎。モデル集中リスク大。
- SUBARU矢島:北米好調で稼働率100%、だが為替110円を割ると一気に赤字化。
5指標スコアリング×マトリクスで“黄信号工場”を可視化
| 工場 | 稼働率 | コスト指数 | 投資回収 | 需要 | CO₂負債 | 総合点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日産いわき | 2 | 3 | 1 | 2 | 2 | 10/25 |
| ホンダ寄居 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 11 |
| スズキ相良 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 | 10 |
| トヨタ田原 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 18 |
スコア2以下が“黄信号”。いわき、寄居、相良がトップ3となった。
稼働率・コスト・投資回収・需要・CO₂ 排出の 5 指標を GlobalData/JETRO/各社決算から点数化した結果、日産いわき・ホンダ寄居・スズキ相良が総合 10 点前後と“黄信号”に入りました(25 点満点=高安全度)。算出方法は本文のスコア表参照。出典 124
具体的シナリオ3つと投資・キャリアへの影響
シナリオA:ホンダ寄居EV専用化
投資額9,000億円、EPS希薄−12円
株価は短期下落だが中長期にはプラス。
シナリオB:スズキ相良部分縮小
生産能力30%海外移管
為替依存が深まり株価ボラティリティ拡大。部品サプライヤーは淘汰。
シナリオC:日産いわき撤退→再エネ拠点
固定費▲180億円、特損400億円。中期EPS+7円。追浜モデルと類似の進路。
40代サラリーマンが今やるべき“2面待ち”戦略
- 住居の二刀流化
- 地方工場近接の社宅+首都圏賃貸をサブリーシングという“賃貸スイッチ”。
- 投資のサプライチェーンETF化
- 個別株より自動車部品+半導体+物流の複合ETFで再編リスクを分散。
- 製造×DXスキル
- Python+PLC+IoTセンサの三位一体スキルで「どの工場でも食える人」になる。
まとめ──“黄信号工場”を知れば先回りできる
- 国内20工場を5指標で評価→黄信号は いわき・寄居・相良。
- 生き残り策は EV専用化 or 撤退&転用 の二極化。
- 投資もキャリアも「動く前に動く人」が勝つ。あなたの会社・株は何点だっただろう?コメント欄で教えてほしい。
次回⑩では、世界のEV販売戦争が国内再編にどう火をつけるかを深掘り予定。お楽しみに!
脚注リンク
- Reuters グラフィック「Car manufacturing in Europe in post-COVID slump」—工場稼働率と採算ライン図示Reuters
- JETRO「各国・地域 投資コスト比較」ツール — 2024 年版データジェトロ
- Nikkei Asia 2024/09/06 記事「Japanese offensive in battery production」— ‘1-trillion-yen battery push’electrive.com
- Honda Global ニュースリリース 2025/06/30 「Honda Changes Plan to Build New Production Plant」— 寄居工場稼働率コメントHonda Global
- 地元ニュースサイト GoGo 駅ネット 2025/02/12 「ホンダ狭山工場跡地の活用法」— Amazon 物流拠点化報道号外NET 狭山市・入間市
※すべて 2025-07-20 16:00 JST 時点でリンク先の表示を確認済み。スコアリングは公開資料を基に筆者が再集計した独自評価です。
免責:本記事のスコアリングとシナリオは公開資料を基に筆者が独自に作成したものであり、投資助言を目的としたものではありません。


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