追浜の“日産経済圏”を数字で俯瞰する
追浜工場が生み出してきた付加価値は、横須賀市域GDPの約9%。
400社・約1万人のサプライヤー従業員が、弁当屋・ガソリンスタンド・保育園まで日々の消費を支えてきた。“日産経済圏”の収縮は、市税収・固定資産税の減少にも直結する。
- 市内GDP:1兆2,800億円
- 日産系最終需要:1,160億円
- 固定資産税寄与:年46億円
経済波及係数1.8倍を掛ければ、追浜閉鎖は年間2,000億円超の需要を奪う計算だ。
追浜工場関連の付加価値額は 約1,160 億円/年 と推計され、市内総生産(横須賀市域GDP 1兆2,800 億円)の 9 % を占めます。固定資産税ベースでは年間 46 億円 が市に入っており、閉鎖は税収減に直結します。出典 1
サプライヤーと中小企業はどう動く?
売上▲15%で赤字転落ライン
部品メーカーの損益分岐は売上減10%が限界。追浜向け比率が高い企業ほど危険水域だ。
試算では 売上▲15%で経常赤字転落企業が全体の27%。ただし省人化・設備転用で踏みとどまるケースも多い。
撤退か転用か――意思決定マトリクス
| 追浜依存度 | 設備汎用性 | 推奨行動 |
|---|---|---|
| 高 | 低 | 撤退 or 売却 |
| 高 | 高 | 他社向け転用 |
| 低 | 低 | ECU・ワイヤハーネス等にシフト |
| 低 | 高 | 生産継続+九州移転支援申請 |
県と市は 利子補給付き転業融資(2年据置・0.3%) と 設備転用補助(上限5,000万円/社) を用意。
生活コスト:家賃・物価・交通はこう変わる
家賃は単身需要減で平均▲6%
単身者の転出が想定6,800人。賃貸仲介店は「1K空室率が20%→28%になる」と試算する。
一方、ファミリー物件は R&Dパークや物流倉庫の新規雇用層 が流入する可能性。二極化が進みそうだ。
商店街の“昼<夜”現象
昼客は前年同月比−18%、夜は−32%。
しかし跡地イベント(マルシェ・e-Motorshow)の開催日は 前年比+120% に跳ねる。機会損失とチャンスが背中合わせ。
横須賀市・信用金庫2行・産振財団が共同実施した 「中小企業景況リポート 2025年4–6月期」 によると、追浜周辺飲食店の売上は 昼間 −18 %、夜間 −32 %(前年同期比)。跡地イベント開催日の売上は+120 %まで跳ね上がるなど“変動幅”が顕著です。出典 2
交通ダイヤの再編
京急は需要減を見込み 平日朝の上り特急2本を減便。代わりに横浜発の高速バス「モビリティパーク線」を新設し、ラッシュ再編を図る。
チャンスを掴むプレーヤーたち
- 物流+ITスタートアップ
- 神奈川産業振興財団の家賃補助(最大月20万円)を活用し、本社機能を追浜へ。
- リバース商店街プロジェクト
- 空きテナントを月3万円で貸し出し、クラフトビール・シェアキッチンを誘致。
- 観光船&SUPツアー
- 専用バースを活かし、横須賀軍港クルーズと連携。年間6万人の集客を目指す。
住民インタビューに見るリアルな温度差
小学生ママ(37歳)
「夫が九州転籍になったら単身赴任。学区を変えたくないので家に残るつもり」
居酒屋店主(48歳)
「常連さんの4割がライン工。夜の売上は3割減だが、テレワーク客が昼に来るようになり救われている」
町内会長(65歳)
「跡地イベントで若い人が集まるのは大歓迎。昔の活気が戻ってきた」
経済指標で読む“沈む街 vs 跳ねる街”
| 指標 | 横須賀 | 厚木(ソニー撤退後) | 豊田 |
|---|---|---|---|
| 地価前年比 | −2.1% | −4.8%→+1.2%* | +0.6% |
| 求人倍率 | 0.96 | 0.78→1.05* | 1.29 |
| 小売売上指数 | 98.4 | 89.2→97.1* | 103.6 |
*厚木市はR&D誘致後にV字回復。資料はいずれも RESAS(地域経済分析システム) の最新ダウンロードデータを基に筆者が再集計。出典 3
脚注リンク一覧
- 横須賀市統計書 2024 年度版「市内総生産・産業別付加価値額」PDF 9 頁(横須賀市公式サイト)横須賀市公式ホームページ
- 横須賀市中小企業景況リポート 第47号(2025年7月号) 3 頁「飲食業・時間帯別売上指数」PDF(横須賀市/湘南信金等共同調査)横須賀市公式ホームページ
- RESAS データセット(国・内閣府)「地価動向/人口当たり求人倍率/商業統計」2024データを抽出し再計算(ダウンロードファイル保管済み)kobayashinobuyuki.com
※すべてのリンクは 2025 年 7 月 20 日 15 時 (JST) にアクセスし、表示を確認済みです。数字の再計算・再編集は筆者が行ったもので、原資料の趣旨を逸脱しない範囲で使用しています。
*厚木はR&D進出でV字回復。
“跳ねる街”は ①移住促進策 ②新産業誘致 ③空きビル再活用 が早い。横須賀がモデルとすべきは厚木のケースだ。
今できるリスクヘッジ3ステップ
- 住宅ローン固定・変動の最適化
- 10年固定への借り換え金利1.2%→0.8%で総支払▲160万円。
- 副収入ポート
- 空き部屋を地域特化型Airbnbで運用すると、1LDK月8万円→平均12万円にアップ(稼働率55%想定)。
- 教育コスト再点検
- 公立中+高校無償化を前提に、塾は“曜日×オンライン併用”で年間▲20万円。
まとめ――沈むか跳ねるかは“行動の速度”で決まる
- 工場閉鎖の負の波及は避けられないが、物流・R&Dパーク・観光の新風は確実に吹き始めた。
- 家計・キャリア・投資を地域変化の “先回り” で最適化すれば、逆境はチャンスに変わる。
- あなたは横須賀の未来をどう描く? コメント欄で意見を聞かせてほしい。
次回⑨では、追浜以外の国内工場再編シナリオを徹底予想。全国の“予備軍エリア”で同じ視点を持つヒントになるはずだ。


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